アナザーストーリー – WOODONE(ウッドワン)マガジン|広島の住宅建材メーカーWOODONE(ウッドワン)が発信する住宅オウンドメディア /media WOODONEマガジンは“地球と人に価値ある木の空間を“をテーマに暮らしに役立つ情報を配信しています。 Tue, 22 Oct 2024 16:10:21 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.7.2 ありがたーい、木のはなし /media/cat01/2318/ Wed, 01 Nov 2023 02:00:05 +0000 /media/?p=2318

仏教では、「無憂樹」「菩提樹」「沙羅双樹」を神聖な木として三大聖木と称しています。

「無憂樹」(むゆうじゅ)の別名はアショーカ。マメ科に属します。お釈迦様の母マーヤが出産をされたのが、ルンビニ園で花を付けていたこの木の根方でした。苦痛もなくすんなりと出産できたから、なんら憂いが無い安産の木としても知られています。

菩提樹(ぼたいじゅ)は、たまに寺院の庭に植えられているのを見かけます。インド・中国・ヨーロッパそれぞれでは科目が違い、ちなみにインドでは桑科でイチジクの仲間です。お釈迦様が修行をされるとき、菩提樹の木陰で深い瞑想を続け、人間の煩悩から解放されて悟りを得られた場所です。またこの木の実はムクロジといい、これを乾燥させ数珠玉として利用することもできるのです。

沙羅(さら)の木は、庭木として植えられるナツツバキのこと。夏になると真っ白い可憐な花を咲かせます。お釈迦様が八十歳で入滅(亡くなること)された地の、東西南北それぞれに2本づつの沙羅が咲き誇っていたことから、通称を沙羅双樹と言っています。

また、平家の隆盛と没落を琵琶法師によって語られる「平家物語」では、その冒頭にだれでも永遠はあり得ないという例えを、沙羅双樹で表現しています。

「祇園精舎の鐘の声/諸行無常の響きあり/沙羅双樹の花のいろ/盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらわす/唯(ただ)春の夜の夢のごとし/たけき者も遂には滅びぬ/偏(ひとえ)に風の前の塵におなじ」

(意訳)祇園精舎の鐘の響きには、先が読めないこの世の無常を表しています。沙羅双樹の花が勢いよく咲いているようでも、時がくれば必ず萎むように、いくら健康で社会的に勢いのある人でもいつかは衰えが来るのです。誰でも永遠などありません。そう考えると人生は、まるで春の風で吹き飛ばされてしまう小さなホコリのようではありませんか。

とくに日本の風土に合う沙羅の木はよく見かけることができます。白い花が咲く夏になると目にとまりますので、三大聖木の一つだなとご覧いただくと楽しみも深まりますね。

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木材でエコカーを走らせる /media/cat01/2288/ Wed, 25 Oct 2023 02:00:58 +0000 /media/?p=2288

ハイブリッドカーや電気自動車のように、ガソリンや軽油などの化石燃料をなるべく使わない仕組みのクルマが注目されています。環境に配慮したクルマを購入に対する政府の優遇措置と相まって、年を追うごとに注目度が高くなりました。購入コストやエネルギー補給のインフラなどまだまだ成熟途上ですが、私たち人類は地球温暖化に対処するために、遠からず何らかのクリーンなエネルギーを使わなければいけなくなるでしょう。

しかし、日本の発電事情を調べると、原子力や水力を除き、およそ70%が化石燃料に頼っているのが現状のようです。ご承知のように化石燃料は、いずれは枯渇する限りある資源です。しかも地球温暖化に作用する二酸化炭素を排出することも悩みの種。これでは電気自動車も厳密に言うと環境配慮と言うには不完全です。

そこで登場するのが木材資源。化石燃料と違い木材は、計画的な植林により再生可能な資源です。伐採したら植林するという循環を徹底すれば、いつまででも枯渇することはありません。確かに燃焼させると二酸化炭素が発生しますが、植林で増えた森に吸収させるサイクルを考えるとうまく循環するのではないでしょうか。

こうして木材を燃焼させて得たエネルギーは、発電機を通して直接電気へと転換することができる他、いったんガス化したエネルギーで電気を生み出すことも可能です。またこのようなガスの大半は水素で形成されているので、水素と酸素を科学反応させれば、燃料電池としてエネルギー化することも可能です。

いかがでしょう。なかには一昔前に存在した「木炭自動車のことか?」と思われた方もいらっしゃったでしょう。しかし木材燃焼のエネルギーを、電気にしてしまうところが大きく違います。「木でエコカーを走らせる」と言うと突拍子もない話のようですが、環境やエネルギー資源の実情を考え合わせると、あながち荒唐無稽ではないと思われませんか。

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家のつくりようは夏をむねとすべし ― 吉田兼好 /media/cat01/2268/ Wed, 18 Oct 2023 02:00:53 +0000 /media/?p=2268

皆さんは、夏と冬ではどちらの季節がお好きでしょうか。言い換えると、どちらの季節が過ごしやすいと感じていらっしゃいますか。

かの「つれづれなるままに・・・」から始まる“徒然草”を書いたことで有名な吉田兼好は、その第五十五段に「家の作りやう(よう)は夏をむね(旨)とすべし 冬はいかなる所にも住まる 暑き比(ころ)わろき(悪い)すまひ(住まい)は たへ(耐え)難き事なり」と著しています。意訳すると「家を造るときは、なによりも夏が快適に過ごせることを基準に考えなさい。冬が寒くても、火を熾(おこ)したり重ね着をすればなんとかなるものだが、夏の季節を考えないで造った家は、暑さを快適に過ごす対処のしようがなくて耐え難いことになるから。」というところでしょう。彼の出自が、夏は酷暑、冬は極寒になる京都だけに、厳しい気候と暮らしやすさの関係について敏感だったのかもしれませんね。

もっとも現代は、気密性の高い家造りと冷暖房設備のおかげで、屋内にいる限り年中快適に過ごせる住環境になっています。しかし、思い返してみてください、このような住環境が整った家造りに目が向けられるようになったのはつい最近のことです。

ちょっと郊外に足を延ばして田舎に行くと、日本特有の建て方をされた家屋が残っています。それらを見ると例えば、雨戸や障子、襖を開けはなすと容易に屋外と繋がる建て方になっていて、極端に言えば表から裏庭まで目線も風もストレートに通ってしまいます。気密性や保温性はあまり重要視されることがなく、むしろ積極的に外気を吸排気しようとしていることが推察されます。これは囲炉裏や炊飯の煙を外へ出さないといけないこともあったでしょうが、別の解釈をすれば暑い季節でも涼しい風を容易に取入れることができるので、いかに夏を快適に過ごせるかを考えた先人の知恵とも言えるでしょう。

私たちの住環境は、文明とテクノロジーのおかげで季節感すらなくなりつつあります。しかし日本には、こういう四季を踏まえた、別の意味で快適な家造りの考え方があったことを再認識しておいても良いのではないでしょうか。

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たかが?されど?“まな板”について考えてみる /media/cat01/2217/ Wed, 04 Oct 2023 02:00:52 +0000 /media/?p=2217

お母さんや奥さんが、台所でネギを刻むトントンというまな板の音に目が覚めて・・という情景は、ほとんど昔話になりつつあります。中には包丁やまな板すら置かないご家庭もあるそうで、日本の食文化も様変わりしつつあるようですね。

それはともかく改めてまな板を見直してみると、これはもうただの板。中には中華料理に使われる、どっしりとした切り株のようなまな板もありますが、かつて和食・洋食・中華の厨房では無垢の木でできた一枚の板が据えられていました。ところが昨今では、木に代わってプラスチックや硬質ゴムのまな板が多くなっています。

すこし年配の調理師さんに事情を聞いてみました。木製よりプラスチック製のまな板を使うことが多くなってきたそうで、木製まな板しか無いころは、まだ包丁を持たせてもらえない新人が一日の終いにまな板をタワシで洗うことが日課でした。表面が傷だらけになってくると、カンナで削って新品のように再生しながら使っていたとのことです。そのお店で、魚をおろすだけに使っているという無垢一枚板のまな板を見せていただきました。およそ60cm×40cmの朴(ほお)の木の特注だったそうです。最初はもっと厚かったのに、何度も削ったからすっかり痩せたと言われましたが、それでもまだ杢目がしっかり見え、毎日大切に扱われている様子を窺い知ることができます。

朴の木とはモクレン科に属し、本州を中心に日本各地に自生する落葉高木です。朴材(ほおざい)は刀の白鞘にも使われているように、堅い木でありながら適度な弾力があって復元力も強いため、刃も鞘も傷みにくいことから使われています。

まな板としては食材を切るため何度も刃を当てる捌(さば)きをしても傷が残りにくいだけではなく、包丁の力を適度に受け止めてくれて刃が滑りにくいために捌き台としては理想的な木材なのです。さらに水切れが良いので、野菜だけではなく肉や魚を乗せても臭いが残りにくい特性も持ち合わせています。

調理師でもない私たちにとってはただの一枚板と思っていましたが、こうして無垢材のまな板を目の当たりにすると、改めて木であることの良さを納得することができますね。

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意外と身近にあったメープルの木 /media/cat01/2159/ Wed, 27 Sep 2023 02:00:11 +0000 /media/?p=2159

かつて喫茶店などで出されるホットケーキのほとんどは、マーガリンを塗って蜂蜜をかけていただいていました。ところが現在では、蜂蜜に代わってメープルシロップが多くなっています。さらに洋菓子だけではなく、ヨーグルトのトッピングなど随所でメープルシロップの名前を見かけるようになりました。メープルとは、日本名を「砂糖楓(かえで)」と言い、北米からカナダにかけて自生しているカエデ科の落葉広葉樹です。カナダの国旗で中央にあるのがメープルの葉であるように、カナダでは日本で松や杉と同じ感覚の身近な木なのでしょう。採取するにはちょうど漆かきと同じように、木の樹皮を傷つけて流れ出る樹液を集め、煮詰めることで作られます。このようにして作られたメープルシロップは芳醇な甘みが特長で、砂糖や蜂蜜と比べて糖分が少ない上にミネラルも豊富に含まれているため、ヘルシーさを求めるニーズから急激に広まったのではないでしょうか。

建材の観点からメープルを見ると、木肌はやや灰色がかった白から黄味の色をしており、中でもマーブルメープルになると、まるで大理石のような文様を見せてくれます。この材質は衝撃に強い特製があり、その対衝撃性について、例えばボーリング場のレーンにメープル材が使われることからも強さが想像がつきます。ですから家のフローリングとして床貼りをしても、椅子やテーブルの足で傷つきにくいメリットがあるのです。

「かえで」というと日本庭園の植栽イメージがあるのですが、こういうところで使われるメープルは、同じカエデ科でも樹高が50m近くにまで成長するそうですから納得ですね。

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□木の個性を選ぶ suit me / suit our

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木が布になるとき /media/cat01/2087/ Wed, 13 Sep 2023 02:00:45 +0000 /media/?p=2087

【出典】東北経済産業局「羽越しな布」

ベニヤ板の材料として使われる木材の中に「シナの木」があります。この木は北海道から九州にかけて広く生育する落葉高木(※)です。木質が比較的柔らかいことと木目もあいまいなため、小学校や中学校で版画の時間に彫った版木はたいていシナの木でした。

山形県では今でも、このシナの木の内皮を使った織物(シナ布)が作られています。もともとは長い冬のため、外の作業ができない季節の内職として、主に北海道から東北地方にかけて広く営まれていたようです。木から織物と考えると意外な気がしますが、アイヌの伝統衣服もシナの木の繊維を使って織られていますからイメージしやすいでしょう。

もっとも、シナ布を作るためには大変な手間と、たくさんの工程がかかります。まず新緑が美しく映えるころ山に入り、シナの木の若木からツクシという専用のノミで皮を剥ぎ取る作業から始まります。剥いだ皮は一昼夜水に浸け、さらにアク抜きのために木灰を入れた大釜で半日以上煮こみます。これを手で揉みながら薄い層にし、米ぬかにつけ込んだ後に乾燥させておきます。そして秋になると清流で洗い、裂きながら少しずつ細い糸にするのです。そして冬、この糸に撚(よ)りをかけてやっと機織りにかけることができます。ここまでおおまかに工程手順を書きましたが、実際はもっと細かく数十工程があるのだそう。しんしんと雪が降り積もる静かな夜、炉端で糸つむぎ仕事をするお婆さんの昔語りを聞きながら、冬のひとときを過ごしていたであろう情景がしのばれますね。

かつてこうして織られた布は、衣類の他、農作物を保存する袋や味噌づくりのこし布などに使われていました。現代は伝統工芸品の位置づけで、着物や帯はもちろん、ポーチ、帽子、のれん、財布、名刺入れなど、多様な製品になって目にすることができます。

※落葉高木/一年ごとに落葉と新葉を繰り返す、樹高が5mを超える樹木の総称。

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音の世界では、木質素材を超えることはできない!? /media/cat01/2069/ Wed, 06 Sep 2023 02:00:04 +0000 /media/?p=2069

ある音響メーカーでは、ワイヤレスイヤホンの振動板に木を使用した製品を扱っています。メーカーによると、この部分に木を使うことで低音域の高調波歪みと高音域の共振を抑えることができ、重厚な低音域とピュアな中高音域を量感豊かに再生するのだそうです。イヤホンは耳の穴に入れるほど小さな製品です。それでもあえて木を採用することで、音にこだわる人にとって音質の差が聞きわけられるほど違いが出るのでしょう。

ご承知のように木は音の振動を伝えやすい反面、共振など余分な音を吸収してしまう特性があります。ですから、プラスチックをはじめとした新素材がたくさん得られる現代になっても、高級スピーカーの躯体としてチーク材やバーチ材で組み立てられた製品を敢えて求められるユーザーがいらっしゃるのもうなずけます。

改めて見直してみると、世に名器と言われているアコースティック楽器の多くは木を使って作られています。例えばイタリアのストラディバリ(1644-1731年)が制作したバイオリンは、没後200年を超えても音が良い名器として高額で取引されています。また、ピアノの名器として名を馳せるスタインウェイもしかり、強靱な鉄フレームと強い弦の張りを打つことで音を出し、木の一枚板を曲げたカーブで作られた躯体全体で心地よく共鳴させ仕組みは現代も引き継がれています。

こうしてみると、まだまだ音の世界では木の有用性が続きそうですね。

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木で造られた橋について考えてみる /media/cat01/2040/ Wed, 30 Aug 2023 02:00:38 +0000 /media/?p=2040

現在国内では、木で造られた橋(木橋/もくきょう)が代表的なところだけでも200カ所以上挙げることができます。いかがでしょう、意外にたくさんあるんだなと思いませんか。

もっともこの数には、山口県岩国市の「錦帯橋」のように、観光施設的な橋も含まれています。とは言うものの、人の往来だけではなく、車も行き来できる生活橋として日常的に役立っている木橋もたくさんあるのです。また中には、静岡県に流れる大井川に「蓬莱橋」という木橋があります。これは歩行者だけの橋ですが、その全長は約897.4m。日本どころか世界一長い木造の橋としてギネスブックに認定されているものもあります。

では、木を材料にした橋の強度や耐用年数はどうなっているのでしょう。現実的にコンクリート橋や鉄橋に比べると、建設コストや腐朽の面で課題が残ります。しかし反面、天然素材である木ならではの自然景観マッチや触れたときの優しいイメージは人工素材では受けられない多くのメリットを私たちに与えてくれます。さらに製造過程においてCO2排出が少なくてすみ、間伐材を使用することで森の活性化にも貢献できるのです。

また、常に水に触れる橋脚だけを鉄骨やコンクリートで造り、私たちが目にしたり触れる機会が多い橋板や欄干部分を木製にするハイブリット的な組み合わせも考えられます。

実はここでも役立つのは集成材。これまでの木橋の多くは無垢の材木を組み合わせていましたが、集成材の特徴をふまえた上で的確な使い方をしてやれば、たとえ木造であってもコンクリートや鉄に引けを取らない強度と耐久性を持った橋ができるのです。

なによりも木をたくさん使った橋ですから、人工物でありながら自然にマッチしてしまうところが良いところ。また、見ても触っても優しいこの風合いは、さすが木橋ならではです。往来が激しい都会ではそれこそメンテナンスが難しいのでしょうが、その有効性を見直すと、もっと身近に木橋がたくさん掛けられるようになるといいですね。

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日本初の木造ドームは、集成材だから造ることができた /media/cat01/2020/ Wed, 23 Aug 2023 02:00:32 +0000 /media/?p=2020

神話の国で知られる島根県出雲市には、木を骨組みにした屋内型多目的施設「出雲ドーム」があります。1992年に日本初の木造ドームとして開設以来、軟式野球やサッカーなどのスポーツをはじめ、コンサートのような屋内イベントにも使われています。

ドーム高は48.9m、野球場として比較すると、両翼90m(甲子園95m)・中堅110m(甲子園118m)あり、甲子園球場よりわずかに小振りながら立派なドームと言えるでしょう。

構造は木質系立体張弦アーチにテンション膜で覆った仕組み。実はこのように大型建造物の骨組みを木で造ることができたのは、集成材のおかげなのです。

ご存知のように集成材とは、木板を多数重ねて強力接着をした製品です。ですから、無垢の天然木のような割れや歪みが少なく、単位重量あたりの強度があることも特長です。また、集成材として大断面になっている骨組みですから、一気に着火しにくく耐火性にも優れているというわけです。何よりもドームの中に入って天井を仰いだとき、幾何学的に組まれたアーチが美しいラインを見せてくれます。これが鉄骨だと少々無骨な感じがするのでしょうが、木材ならではの優しさや温もり感がよく伝わってくる施設です。

このように木質ならではのすばらしさと、大型建造物でも耐えられる強度が証明された出雲ドームをきっかけに、各地で同じような集成材を使う大規模木質系ドームが見られるようになりました。ちなみに秋田県大館市に建てられた「ニプロハチ公ドーム(大館樹海ドーム)」は世界最大級の木質系ドームとされています。秋田杉を約25,000本使った集成材を骨組みにして造られており、これまた美しいフォルムのドームとして著名です。

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和菓子職人の道具「木型」は、桜板を使ったレリーフ芸術 /media/cat01/1968/ Wed, 09 Aug 2023 02:00:00 +0000 /media/?p=1968

和菓子職人の道具のひとつに「木型」があります。桜の板材に四季の草花や鶴亀などを彫り込み、和菓子成形の型として使われています。代表的なところで、仏事や進物、茶席に使われる“落雁(らくがん)”は、米や大豆の粉をベースに砂糖と水を加えて練った素材をこういう木型で成形しています。発祥は平安時代からという説もありますが、現代のような様式で本格的な木型になったのは、江戸時代中期からとするのが妥当でしょう。

もっとも近年は、肝心の木型を彫り込む職人さんが全国でも10人に満たないそう。簡単な梅や桜・菊などの花弁文様であれば、機械を使って大量に削り出すこともできるでしょう。しかしもっと微妙な造形を彫り込むとなると、なかなかこうはいきません。一つずつ手彫りされた製品は、レリーフとして見ても芸術品に称されても遜色がないほどです。

ご多分に漏れずこの世界にもシリコン製の型が売り出されています。ところが和菓子職人さんの立場で使い勝手を伺うと、木製の方が適度に湿気を保ってくれて製品のヌケにおいても勝るそう。そうでなければ彫金技術が発達していた日本のこと、とっくに金型に代わっていますよとおっしゃっていました。ある意味これも、木の文化を持っていた日本ならではの道具、またそれを芸術の域にまで高めた彫刻職人さんへも感謝したいところです。

機会があればこの観点で、落雁や和菓子をじっくりと眺めてみてください。

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